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2013年9月10日 (火)

人は自分に都合のよいことを信じやすい

なんだかFacebookのタイムラインに、この記事を引用して喜んでいる知り合いを数人みかけた。

「デスクが散らかっている人はクリエイティブ」―米研究結果

しかし、この翻訳記事、元はドイツ語の記事である。
そして、触れているのは米ミネソタ大学の研究である。

科学的な思考、論理的な思考を持っていれば、「なぜ英語の記事から翻訳しないのか、元論文にはほんとにそういうことが書いてあるのか」という疑問を持つのが普通であろう(論理的な思考を持たないのが普通であるという可能性はある)。

とは言え、翻訳記事は、まじめに参照先を記述している。翻訳姿勢はマジメである。

参考:NetDoktor-Blog: Schreibtischkultur ? es lebe das kreative Chaos!
http://www.netdoktor.de/News/NetDoktor-Blog-Schreibtisch-1137959.html

だが、このドイツ語の記事を見ても、ドイツ語よくわからない。Google翻訳で日本語にしてみたところで、日本語の意味がよくわからない。しかし、このドイツ語の記事もマジメに参照先を記述している。

Quelle: K. D. Vohs et al. Physical Order Produces Healthy Choices, Generosity, and Conventionality, Whereas Disorder Produces Creativity. Psychological Science, 2013; DOI: 10.1177/0956797613480186

というわけで、" Physical Order Produces Healthy Choices, Generosity, and Conventionality, Whereas Disorder Produces Creativity"でググると、簡単に原論文を読むことができる。

こんなに簡単に原文にたどり着けるの今の世の中、実に素晴らしいと思う次第です。ああ、私もインターネットの発展のすそ野にちょいとだけかかわっていてよかった、といううれしさも味わえるわけですが・・・ま、それは、おいといて・・・

結果的には、この翻訳記事は、極論すれば、「元の論文の一部だけピックアップして好き勝手なことを書いている非科学的な内容のドイツ語記事を何の吟味もせずに翻訳しただけ」とわかるわけですね。

なのに、自分に都合のよいことが書いてあるとロクに判断もせずに喜んで引用する。これって、人は自分が信じたい説を信じる・・・詐欺にひっかかりやすいパターンですね。

いや、所詮FacebookやTwitterなんて、ネタの世界ですから、「ネタを書いてるだけだよ、それもわからないの」という突っ込みもありますわな。その世界を真面目に検討してどうするの、と。そういう意味では野暮なことをしているだけなのかもしれないなという自覚もありますが、ネタとしてももう少しひねりがほしいわなあと思っちゃうわけで。

ちなみに、簡単に見つかる元の論文には、3つの実験結果が記載されている。

実験1: 34人のオランダ人学生を使った実験。
整頓された部屋の人は寄付の額が多いという結果。もっとも、国民性による違いがある可能性は検討されていないという疑問点は残る。
この記事書いた後で思い出したけど、英語で割り勘ってDutch treatなので、オランダ人はケチであるというグローバルな了解のもとで、整頓された部屋のオランダ人は、オランダ人であっても、寄付するんだよね~って話なのかいな、と。

実験2: 48人のアメリカ人学生を使った実験。
この部分が日本語翻訳記事で喧伝されている部分。これも国民性による違いはないのか検討されていないという疑問点が残る。

実験3: 188人の成人アメリカ人を使った実験。
スムージーを選ぶかという実験で、整頓された部屋に配された人は健全なスムージーを選ぶという実験結果が得られたそうである・・・ん~、これも国民性は考慮しなくてよいのか、スムージーだけで判断して良いのかなどの突っ込みどころがあるんじゃないだろうか。

この実験では、サンプルの人たちはランダムに、整頓された方と、乱雑な方に分けて結果を見ているわけだけど、同一サンプルが整頓された方と乱雑な方で行動パターンが変わるかどうかは検証されていない点も気になるんですよね。私は(あなたは)、環境で行動パターンがどこまで変わるのか、ということです。

また、この論文に掲載されているdisorder roomの写真は、思ったほど散らかっていないように見える。これより汚い机の奴は判断対象外かもしれませんね。

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