最近のトラックバック

2015年2月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
無料ブログはココログ

2013年9月10日 (火)

人は自分に都合のよいことを信じやすい

なんだかFacebookのタイムラインに、この記事を引用して喜んでいる知り合いを数人みかけた。

「デスクが散らかっている人はクリエイティブ」―米研究結果

しかし、この翻訳記事、元はドイツ語の記事である。
そして、触れているのは米ミネソタ大学の研究である。

科学的な思考、論理的な思考を持っていれば、「なぜ英語の記事から翻訳しないのか、元論文にはほんとにそういうことが書いてあるのか」という疑問を持つのが普通であろう(論理的な思考を持たないのが普通であるという可能性はある)。

とは言え、翻訳記事は、まじめに参照先を記述している。翻訳姿勢はマジメである。

参考:NetDoktor-Blog: Schreibtischkultur ? es lebe das kreative Chaos!
http://www.netdoktor.de/News/NetDoktor-Blog-Schreibtisch-1137959.html

だが、このドイツ語の記事を見ても、ドイツ語よくわからない。Google翻訳で日本語にしてみたところで、日本語の意味がよくわからない。しかし、このドイツ語の記事もマジメに参照先を記述している。

Quelle: K. D. Vohs et al. Physical Order Produces Healthy Choices, Generosity, and Conventionality, Whereas Disorder Produces Creativity. Psychological Science, 2013; DOI: 10.1177/0956797613480186

というわけで、" Physical Order Produces Healthy Choices, Generosity, and Conventionality, Whereas Disorder Produces Creativity"でググると、簡単に原論文を読むことができる。

こんなに簡単に原文にたどり着けるの今の世の中、実に素晴らしいと思う次第です。ああ、私もインターネットの発展のすそ野にちょいとだけかかわっていてよかった、といううれしさも味わえるわけですが・・・ま、それは、おいといて・・・

結果的には、この翻訳記事は、極論すれば、「元の論文の一部だけピックアップして好き勝手なことを書いている非科学的な内容のドイツ語記事を何の吟味もせずに翻訳しただけ」とわかるわけですね。

なのに、自分に都合のよいことが書いてあるとロクに判断もせずに喜んで引用する。これって、人は自分が信じたい説を信じる・・・詐欺にひっかかりやすいパターンですね。

いや、所詮FacebookやTwitterなんて、ネタの世界ですから、「ネタを書いてるだけだよ、それもわからないの」という突っ込みもありますわな。その世界を真面目に検討してどうするの、と。そういう意味では野暮なことをしているだけなのかもしれないなという自覚もありますが、ネタとしてももう少しひねりがほしいわなあと思っちゃうわけで。

ちなみに、簡単に見つかる元の論文には、3つの実験結果が記載されている。

実験1: 34人のオランダ人学生を使った実験。
整頓された部屋の人は寄付の額が多いという結果。もっとも、国民性による違いがある可能性は検討されていないという疑問点は残る。
この記事書いた後で思い出したけど、英語で割り勘ってDutch treatなので、オランダ人はケチであるというグローバルな了解のもとで、整頓された部屋のオランダ人は、オランダ人であっても、寄付するんだよね~って話なのかいな、と。

実験2: 48人のアメリカ人学生を使った実験。
この部分が日本語翻訳記事で喧伝されている部分。これも国民性による違いはないのか検討されていないという疑問点が残る。

実験3: 188人の成人アメリカ人を使った実験。
スムージーを選ぶかという実験で、整頓された部屋に配された人は健全なスムージーを選ぶという実験結果が得られたそうである・・・ん~、これも国民性は考慮しなくてよいのか、スムージーだけで判断して良いのかなどの突っ込みどころがあるんじゃないだろうか。

この実験では、サンプルの人たちはランダムに、整頓された方と、乱雑な方に分けて結果を見ているわけだけど、同一サンプルが整頓された方と乱雑な方で行動パターンが変わるかどうかは検証されていない点も気になるんですよね。私は(あなたは)、環境で行動パターンがどこまで変わるのか、ということです。

また、この論文に掲載されているdisorder roomの写真は、思ったほど散らかっていないように見える。これより汚い机の奴は判断対象外かもしれませんね。

2011年3月19日 (土)

イナゴの観察

スーパーとかコンビニとかで、いろんなものが品薄になっていますが、イナゴ買いって呼ばれているようですね。誰が言い出したか知りませんが、よくイナゴなんて覚えてましたね、イナゴの佃煮食べているエリアの人でしょうか。

子供の頃に昆虫採集が趣味だったので、最近のイナゴの習性を、イナゴの通過した跡を観察してまとめてみました。観察事例が少ないので、地域的な偏りがあるかもしれません。

好むもの
- 米
まあ、イナゴですから、基本ですね
- パン
小麦系では、パンを好むようです。スパゲッティは売れ残っていることが多いので、純日本産のイナゴであると想定されます。また、蕎麦よりもうどんを好む傾向があるようにも見えます。
- インスタントラーメン、カップ麺
これも基本的には日本産のものが好まれるようで、初期の状況では辛ラーメンは売れ残っていましたが、日本産のものが補充されないため、仕方なく辛ラーメンにも手を出すようになったと言う時間経過による習性の変化が見られます。イナゴは短期間で進化する・・・のでしょうか。
- 納豆・豆腐
納豆の棚は供給が追いついていません。豆腐はそこそこ供給されており、通常の棚以外にも平積みになっている店もあるのですが、夜遅く行くとなくなっています。大豆タンパク大好きと言うことですね。
- 缶詰
サバやイワシなどの一缶100円前後のものを好むようです。初期はクジラの大和煮などは売れ残っており、そろそろ調査捕鯨も止める頃合いかと思われましたが、インスタントラーメン同様、補充されないために、クジラにも手を出してしまったようです。イナゴは草食系のはずですが・・・
- 牛乳
近所の高級食材スーパーの高い牛乳も品薄です。イナゴは草食系のはずですが・・・
- 水
特に2リットルを好むようです。
- トイレットペーパー、ティッシュ
イナゴがトイレットペーパーを使うわけありませんから、これも植物繊維として食べているものと思われます。

好まないもの
- こんにゃく
イナゴはダイエットには無縁らしく、ローカロリーのこんにゃくには手を出さないようです。
- 野菜
イナゴなのに野菜にはあまり手を出さないのは不思議です。夜遅く行っても余っています。
- 魚・肉
まあ、イナゴは草食系なので魚や肉は食べません。ある意味、適切な行動です。魚や肉を食べるのはタガメです。

その他、ガソリンやカセットコンロを好むと言う話も出ているようですが、イナゴは基本的に夏場の昆虫ですから、寒い時期には暖房を取る必要があることに気がついたようで、これはイナゴにしては劇的な習性の変化ではないかと思われます。

また、夜間、光に集まる習性と言うのは比較的幅広く見られる昆虫の性質ですので、停電と聞くと、夜に集まる光を求めて、懐中電灯と乾電池にも群がっているようです。

2011年3月18日 (金)

茨城の被災

当初は、東北地方太平洋沖地震と言っていましたが、最近は東北関東大震災と言うようになりました。宮城・福島・岩手を中心とする東北地方が被害の中心であることは確かなのですが、福島の隣は茨城、ここも通常規模の大地震であれば報道されてしかるべきレベルの被害は出ています。千葉県も東電の計画停電地域に被災地が含まれていたと森田県知事が怒ったと言う報道がありましたが、それ以外にも浦安近辺の液状化の話は地震直後に友人からメールで知らされていました。

最近はつくばの仕事も増えたのですが、地震直後から、建物停電や、断水などが起きており、未だに復旧が進んでいないようです。我々の仕事に関しては、図書館の蔵書点検作業中だったのですが、二日やった後で、震災が来て図書散乱という程度でたいした被害は出ていません。当日は、奇跡的に蔵書点検作業を休みにして、別件の打ち合わせだけしていたので、けが人も出ずに済みました。つくばで打ち合わせをしていた担当者は家に帰れず、打ち合わせ場所も停電で、筑波大学に泊まって、学生さんに炊き出ししてもらったそうですが、その際に「これが最後の水です」と言われたそうです。今は、多くの学生さんたちは寮を離れて実家に戻っている模様。

報道の多くは原発問題と宮城・福島・岩手を中心とする被災地の現状に集中しています。確かに全体的に見ると被害が大きいところの問題の方が規模としては大きいでしょう。が、おかげで茨城の惨状が忘れられていると、さきほど、電話で話をしたつくばの友人が言っておりました。彼は自宅で本棚に殺されそうになったそうで、未だに本が散乱したままだそうです。また、つくば近辺では車で移動するのが普通ですが、燃料不足で移動もできないそうです。うんうん、でも、東京でもガソリン無いみたいよ、と・・・

東京の人が茨城も震災にあってることに気がつくのは、スーパーで納豆が品切れになっていることくらいじゃないでしょうか。マスコミの方々も、もう少し茨城の被災地の報道も増やして下さい。

続きを読む "茨城の被災" »

2008年8月27日 (水)

牛は決まった方角を向く

牛は決まった方角を向く、独研究者が論文発表」と言う記事中に

牛が決まった方角を向く傾向が強いことは既に、牧畜関係者の間では知られていたこと
と書いてあるのが本当かどうか気になると言う知り合いが居たので、つい、原典を当たってしまった。まず、元になった論文の方。これはThe Proceedings of the National Academy of Sciences Sabine Begallでググると、Magnetic alignment in grazing and resting cattle and deerで、Full Text(PDF)はお金かかるようなので確認していないが、このAbstractには
Amazingly, this ubiquitous phenomenon does not seem to have been noticed by herdsmen, ranchers, or hunters.
と書いてある。つまり、論文執筆者自体は、驚くべきことに牧畜関係者には知られていないようだ、と書いているので、記事とは逆なのであった。む~・・・誤訳じゃん。と、思ったものの、だいたい、この手のものは直接論文を参照して書いたわけではなく、訳した元の記事があるはずだと思って再度検索。USA TodayのIt's a moo-stery: Cows seem to know which way is northなる記事を発見(余談であるが、moose+mysteryでmoo-steryと言うダジャレのようである)。なんと、この記事中には、
The study sent Tina Hinchley, who with her husband Duane operates a dairy farm in Cambridge, Wis., to take a new look at an aerial photo taken of their farm a few years ago.

"The cows that were in the pasture were all over the place ... about two-thirds were north-south," Hinchley said.

と言う箇所があるが、これは「牧畜関係者の間では知られていたこと」というよりは「牧畜関係者に確認したこと」と言う方が適切であろう。と言うことで他を見ると・・・ありましたよ。Boston GlobeのDeer, cattle have true animal magnetism: study。この中には確かに
Herdsmen and hunters have long known that cattle and sheep tend to face the same direction when grazing, but had believed they were simply positioning themselves according to prevailing winds or the sun's rays.
と書いてあるわけです。ただ、(磁力のせいではなく)風や日差しをさけるためにそのような行動を取るのだと思われていた、と。というわけで、ロイターが出典らしいと思ったあたりで疲れたので探索を打ち切ることにしたのであった。